大人しい外観からは想像もつかない高性能を秘めた車のことを、「羊の皮を被った狼」と呼ぶことがあるんだ。
半世紀以上も前のこと、自動車評論家の三本和彦氏がプリンス・スカイライン2000GTをそのように形容したのが事始めだったんだ。
最近は「羊の皮を被った狼」という言葉はあまり使わなくなったけど、そのように形容できる車は現在も存在するので、ここではそんな車を5台選んで紹介するね!
この記事の目次
フォルクスワーゲン・ゴルフ R
Cセグメント・ハッチバックのベンチマーク的存在である「フォルクスワーゲン・ゴルフ」は、日本でも高い人気を誇るモデルです。
理想的な実用車と言えるゴルフですが、大人しいグレードのほかに飛び切りの高性能グレードも用意されています。
それが、「ゴルフ R」です。
外観を標準的なグレード「TSI」系と比較すると、フロント・ロワーグリルのデザインが異なることや、専用デザインの大径アルミホイールを履くことなどが主な相違点になっています。
しかし、派手なオーバーフェンダーやボンネット上のエアスクープなど備わるわけではないので、よほど車に詳しい人でない限り見分けはつかないはずです。
そんな控えめな外観のゴルフ Rですが、パフォーマンスはその辺のスポーツカーでは太刀打ちできないくらい素晴らしいものがあります。
搭載される2L直4ターボエンジンは最高出力310ps、最大トルク40.8kg・mを発揮、最高速度は250km/hに達し、0-100km/h加速タイムは僅か4.6秒です。
ちなみに「ポルシェ・718ケイマン」の0-100km/h加速タイムは4.9秒なので、ゴルフ Rはそれを凌いでいます。
また、直線だけでなくコーナリングも速いモデルですし、フルタイム4WDシステム「4モーション」の採用により、ヘビーウェットの路面でも高性能を発揮できる点も強みと言えます。
とにかく、一見普通のハッチバック車のように見えながら、一流のスポーツカー並みの性能を誇るのがゴルフ Rなのです。
ゴルフRはハッチバックで一見おとなしそうな外観だけど、ターボエンジンで最高速度が250キロも出るんだね!
100キロまでの加速もポルシェより速いんだから、まさに羊の皮をかぶった狼でしょう!
BMW アルピナ XD3 オールロード
BMW アルピナはBMW車をベースにしたハイパフォーマンスモデルを生産するメーカーですが、ラインナップのひとつにミディアムクロスオーバーSUV「X3」がベースの「XD3 オールロード」があります。
一般的に、クロスオーバーSUVには悪路に強いタフなイメージはあるものの、オンロードで速いというイメージはあまりありません。
しかし、XD3 オールロードにはそんな常識は当てはまりません。
BMW アルピナは控えめで上品なエクステリアが持ち味ですが、XD3 オールロードにもこれ見よがしなところは全くなく、X3と比べてもフロント・ロワーグリルとアルミホイールのデザインが異なるくらいです。
一見すると特に速そうな車には見えませんが、そのパフォーマンスはSUV離れしています。
搭載される3L直6ディーゼルターボエンジンは最高出力333ps、最大トルク71.4kg・mを発生し、2トン近くにも達する車体を巡行最高速度254km/hまで引っ張り上げる実力の持ち主です。
また、0-100km/h加速はポルシェ・718ケイマンと同じ4.9秒でこなします。
大人しいデザインのボディにディーゼルエンジンを搭載するクロスオーバーSUVが、これほどのパフォーマンスを発揮するとは誰も思わないはずです。
また、ハンドリングもクロスオーバーSUVの水準を大きく超えるもので、ワインディングロードをハイペースで走ることができます。
もし貴方がそれなりのスポーツカーに乗っていたとしても、ただのSUVと見くびって挑みかかるのは止めておいた方がいい車、それがXD3 オールロードです。
アルピナXD3オールロードはBMWさんの車を基に改造しているんだねぇ。
4WDは荒れた道に強いイメージだけど、アルピナは普通の道でもとっても速いんだね!だからってあおり運転はダメだからね~。
ボルボS60 T8ポールスターエンジニアード
ボルボというブランド名から、「安全性」や「質実剛健」といったイメージを受ける方は多いと思います。
一方、「高性能」をイメージする人は、ほとんどいないのではないでしょうか?
しかし、ボルボのDセグメントセダン「S60」のトップグレードとして君臨する「T8ポールスターエンジニアード」となると、話は違います。
外観を他のグレードと比較すると、フロント・ロワーグリルやボディ後半部の意匠が異なるものの、基本的にはボルボらしい大人しいデザインです。
しかし、ボンネットの中にはそんな羊のような外観からは想像もつかない、狼のようなパワートレインが収まっています。
2L直4ツインチャージャー(ターボ+スーパーチャージャー)エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムは、トータルで最高出力415ps、最大トルク68.4kg・mを発生する強力なものです。
そのパフォーマンスは最高速度250km/h、0-100km/h加速4.7秒で、およそボルボのイメージからかけ離れています。
日本への導入は2019年秋の予定ですが、AMGやBMW Mではありきたりでつまらないという方は、このスウェーデン版羊の革を被った狼を待つのもありでしょう。
S60 T8ポールスターエンジニアードってまだ日本で発売されてないのね!それはそうとエンジンが凄いみたいね。ターボとスーパーチャージャーが付いてるんですって。
説明しろですって!?とにかく最初から最後まで加速が凄いってこと・・・わたし、これからピアノのお稽古があるから、もう行かなきゃ!
ジープ・グランドチェロキー SRT8
ジープはクロカンモデルの代名詞的なブランドで、生産する4WD車の悪路走破性の高さには定評があります。
また、7スロットグリルが備わる無骨な外観も、魅力のひとつでしょう。
一方で、オンロード性能が高いというイメージはあまりなく、実際に大半のモデルが平均的な性能に留まります。
しかし、例外として同社のフラッグシップモデル「グランドチェロキー」のトップグレード「SRT8」が存在することを、忘れてはなりません。
外観は、他のグランドチェロキーとはフロントグリルの意匠や色が異なることや、前後に控えめなスポイラーが備わるなどの違いはあるものの、いかにもという感じの派手なアピールはありません。
しかし、この控えめなディテールのボディを引っ張るエンジンは、他のグレードの7割増しとなる6.4Lの排気量を持つV8OHVなのです。
スペックは最高出力468ps、最大トルク63.6kg・mと強力で、2.4トンに達するボディを5秒フラットで100km/hまで到達させることができます。
また、大排気量V8エンジンならではの豪快なフィーリングや、野太いサウンドも大きな魅力です。
しかも決して直線番長ではなく、ワインディング走行も楽しめるハンドリングを兼ね備えているので、申し分ありません。
グランドチェロキー SRT8は、狼というよりもバッファローのイメージかもしれませんが、とにかく外観と性能のギャップは相当なものです。
グランドチェロキーSRT8って、ガッチリした形がほんとバッファローみたい・・・
6.4Lの凄い大きいエンジンだから体重が重くても十分速いのかなぁ。この車でみんなと海とか山とかドライブに出かけたいね~!
モーガン・ロードスター
イギリスのモーガン・オートは、ほぼ戦前の姿そのままのクラシカルなスポーツカーを生産するメーカーとして知られています。
一般的に、スポーツカーは誰の目にも速そうに見えるので「羊の皮を被った・・・」には当てはまらないのですが、モーガンだけは例外といえるでしょう。
特に、日本に導入されるモデルの中で最上級に位置付けられる「ロードスター」は、クラシックカーそのものの外観とは裏腹の高いパフォーマンスを誇るモデルです。
搭載されるエンジンはイギリスフォード製の3.7L V6で、最高出力280ps、最大トルク38.8kg・mを発生します。
スペック的には飛び抜けたものではありませんが、車両重量が950kgとリッターカー並みに軽いため、加速性能は静止状態から100km/hまで5.5秒と第一級です。
ポルシェ並みの加速力とまではいかないものの、路上を走る大半の車を置き去りに出来ることは間違いありません。
モーガン・ロードスターに追い越されたドライバーは、「こんなに古めかしい外観なのに、こんなに速いの!?」と驚くことでしょう。
モーガンロードスターは軽い車体に280馬力のエンジン搭載だから凄い加速が味わえるんだね!なんだか見てるだけでノスタルジックな気分になるなぁ~!
目立たないけど凄い車!「羊の革を被った狼」と形容できる車おすすめ5選まとめ
見た目からして速そうで、実際にも速いという車も勿論いいものだね。
だけど、見た目は決して速そうではないのに実はとても速い車の方が、意外性があって面白いといえるんじゃないかな?
ここで紹介した5台なら、普段は外観のイメージ通り大人しく走りつつも、ここぞという時に周囲を驚かせるほどの速さを見せつける楽しみが得られるはずだよ!